この記事では、ゴルフクラブにとって重要な要素であるライ角について詳しく解説しています。
もしかすると、多くの人はこれまでライ角にあまり意識を向けてこなかったかもしれません。
しかし、ライ角が少し変わるだけで、ショットの正確性が格段に変わります。
つまり、ライ角に意識を向けるだけで大きくスコアアップする可能性がある、ということです。
少しだけ専門的な内容になりますが、できる限りわかりやすく説明しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
ライ角とは
ライ角とは、ゴルフクラブのソールとシャフト軸線で作られる角度のことです(上の画像)。
たとえば、下記はキャロウェイのX FORGED STARアイアンのスペック表です。
クラブが長くなるごとにライ角が0.5度ずつ増えていることがわかります。
番手 | ライ角 |
4番アイアン | 60.5度 |
5番アイアン | 61.0度 |
6番アイアン | 61.5度 |
7番アイアン | 62.0度 |
8番アイアン | 62.5度 |
9番アイアン | 63.0度 |
PW | 63.5度 |
参考:キャロウェイ X FORGED STARアイアン|スペック
ちなみに、メーカーやモデルによってライ角の設定は異なります。
ライ角は、角度の度合いによって次の2つの呼び方に分けられます。
- フラット(角度が小さい)
- アップライト(角度が大きい)
これは、ライ角が何度以下ならフラットで、何度以上ならアップライトかという分け方ではありません。
ある特定のライ角があって、それよりも小さければフラット、大きければアップライトだという相対的な表現に過ぎません。
たとえば、あなたにとって7番アイアンの適正ライ角が62度だとすると、60度はフラットですし、64度だとアップライトである、ということです。
フラット
ライ角の小さいものをフラットと言います。
フラットなライ角の特徴は、スライス傾向になるという点です。
もしも自分に合ったライ角よりも角度が小さければ、まっすぐ打ったつもりでもスライスするでしょう。
これはフラットなクラブを構えるとヒールが浮き、「つま先下がり」のような状態になってフェースが右を向くからです。
一方、つかまり過ぎるクラブのライ角をフラットにすることで、ストレートボールに近づけられる、とも言い換えることができます。
アップライト
ライ角の大きなものをアップライトと言います。
アップライトなライ角の特徴は、フック傾向になるという点です。
もしも適正ライ角よりも角度が大きければ、まっすぐ打ったつもりでもフックするでしょう。
下の写真のように、アップライトなクラブはトゥ側が浮き、まるで「つま先上がり」のようにフェースが左を向くからです。
一方、つかまらないクラブのライ角をアップライトに調整することで、ストレートボールに近づけられる、とも言い換えることができます。
ライ角の重要性
先ほどお伝えした内容から、ライ角の3つの重要性が見えてきます。
- 方向性
- ミート率
- 番手に合った飛距離
それぞれ解説します。
①方向性
ゴルフクラブのライ角は、方向性に重要な役割を果たします。
これは先ほどお伝えしたとおりで、ライ角がフラットだと右に、アップライトだと左に飛ぶ傾向が出るからです。
しかし、もう一度言いますが、ライ角は何度以下がフラットで、何度以上がアップライトという基準があるわけではありません。
ポイントは、人それぞれに適したライ角が存在し、それよりもフラットだったりアップライトだったりすると方向性に問題が生じる可能性がある、ということです。
そして、適正なライ角はどのようにして決まるかというと、プレーヤーの身長や手の長さ、スイングタイプなどです(詳しい調べ方は後述します)。
ここで注意すべきなのは、市販のアイアンはほぼすべて、ある一定のライ角で店頭に陳列されているという点です。
②ミート率
ライ角はミート率に大きな影響を与えます。
理想のライ角は、インパクト時(※構えたときではない)にソールが地面にピッタリつく角度です。
この状態だと芯に当たりやすく、ミート率が向上し打感や方向性が良くなります。
しかし、ライ角が合っていないと、芯に当たりにくくなってミート率が悪くなってしまうのです。
③番手に合った飛距離
ミート率が上がることで、番手に合った飛距離を出すことができます。
番手に合った飛距離とは、たとえば7番アイアンなら150ヤード飛んで、8番アイアンなら140ヤード飛ぶ、といった具合です。
これは飛距離が上がるという点よりも、番手間の距離がハッキリするという点がより重要です。
極端な例ですが、ライ角が適正でない7番アイアンと、ライ角が適正な8番アイアンを打った場合を考えてみましょう。
当然ミート率が変わるので、下手をすると7番も8番も同じ距離、という問題が起こる可能性があるのです。
適正なライ角を知る方法
ショットマーカーを使うことで、自分に合ったライ角を知ることができます。
これはソール部分に貼るシールのことで、地面に擦った箇所が変色するので、適正なライ角でインパクトできているかを知ることができます。
また、ゴルフショップでは試打の際に適正ライ角を調べてもらうことも可能です。
✓ライ角はメーカーによって変わる
先述のとおり、「7番アイアンのライ角は何度」と決まっているわけではなく、メーカーやモデルによって数値は異なります。
ですので、購入前には必ず「自分にとって適正なライ角か?」を確認しなければなりません。
また、購入後にも、使用頻度によっては徐々にライ角は変化します。
これは打ち込む人に傾向が強く、練習頻度が多いプロの場合は数週間でライ角が変わってしまうと言われています。
自分にとって最適な弾道を得るためにも、ライ角はまめに確認・調整をおすすめします。
ライ角の調整方法
ライ角は専用の機械とスキルがあれば自分で調整できますが、多くの場合はショップや工房に依頼します。
ちなみに、アイアンの場合はライ角調整ができるものと、できない(またはやりにくい)アイアンがあります。
一般的には「軟鉄鍛造」のものは調整可能で、「鋳造」は硬いために調整ができない(難しい)とされています。
もし自分のアイアンの素材や製法がわからない場合には、ショップに相談してみるといいでしょう。
✓ドライバーのライ角調整
最近の「カチャカチャ(可変機能)」がついたドライバーには、ライ角も範囲内で変えられるものがあり、自分で自由に調整できるようになっています。
「ボールがつかまりにくいな」とか「フックを抑えたい」といった場合には、ライ角を自由に調整できるのでおすすめです。
とはいえ、ロフト角が小さいドライバーの場合、ライ角調整の効果は「限定的」と言われています。
ドライバーを1度程度アップライトにしたところで、アイアンほどの効果はありません。
「気持ちつかまるようになるかな?」くらいで捉えておくといいでしょう。
実はロフト角が小さなクラブをアップライトにしても、さほどつかまりが良くなる効果は望めません。
アップライトになるとつかまりが良くなるのはアイアンなどのロフト角の大きな番手で、ロフト角が大きくなるほどアップライトにしたときのつかまり度合いは強くなります。
まとめ
ライ角は、方向性を安定させるだけでなく、飛距離のバラつきを抑える上でとても重要です。
これまでスイングにしか意識が向いてなかった人は、ライ角にも意識を向けることでよりスコアアップに近づくことができるでしょう。
とはいえ、せっかくクラブのライ角を完璧に合わせても、インパクトで崩してしまっては意味がありません。
スイングちゅうのライ角を維持することが、ダフリやミスショットを防ぐために大切です。
このあたりはライ角維持ができない理由は簡単です【コツと効果的な練習方法も公開】でお話していますので、よければあわせて読んでみてください。