ドライバーの弾道が高すぎると悩んでいませんか?
高い弾道はフォロー風のときは良いのですが、アゲンストになると大きく飛距離をロスしてしまいます。また風の強さに関わらず、横風の影響を受けやすいので、方向性の問題も出てきます。
もしもあなたが他の人に比べて弾道が高すぎると感じているのであれば、適正な弾道高さに変えるだけで飛距離や方向性が向上する可能性があります。
この記事では、ドライバーの弾道が高くなりすぎる原因と、適正な弾道高さを得るための具体的な解決策を紹介します。
いつもライバルに飛距離で置いていかれる、一生懸命に振っているのに飛ばないという方は、ぜひ最後までお付き合いください。
ドライバーの弾道が高すぎる原因
ゴルフにおいて飛距離を決定づける要素に「打ち出し角」「バックスピン量」「ボール初速」の3つがありますが(※これを「飛びの3要素」と呼びます)、このうち弾道高さに影響を与えるのは次の2つです。
- 打ち出し角
- バックスピン量
つまり、ドライバーの弾道が高すぎる場合、上記のいずれか(もしくは両方)の数値が適正より大きすぎる、ということです。
たとえば、あなたが9.5度のドライバーを使っているとして、実際のインパクトロフト角が20度を超えていた場合、思った以上にボールは高く打ち出されることになります。
また、打ち方に何らかの原因があり、想定よりもバックスピン量が大きく増えてしまった場合には、フケ上り弾道が高くなりすぎてしまいます。
いずれにせよ、ドライバーの弾道高さを適正にするには、打ち出し角・スピン量の数値を適正にする必要があります。
打ち出し角が高くなる要因
設計のロフト角よりも、インパクトロフト角が大幅に増えてしまっているエラーです。
原因としては、次が考えられます。
- フェースが開く
- リリースが早い
ゴルフクラブはフェースが開くほどロフト角が増える(空を向く)という特徴があります。
つまり、フェースを開くとボールが高く上がりやすいということです。これはサンドウェッジで高いロブショットを打つときにフェースを開くのと同じ理屈です。
多くのゴルファーがドライバーを打つとフェースが開いてインパクトしているので、弾道が高く上がりすぎる場合には、まずフェースが開いていないかをチェックしましょう。
ちなみに、ドライバーのフェースが開くタイミングは、テークバック、トップ、ダウンスイング、インパクトまでさまざまです(※あとで詳しく解説します)。
また、リリースを早くすると、ドライバーの弾道は高くなります。
これは早い段階でシャフトが「逆しなり」を起こすためで、フェースが上を向いた状態でインパクトするので打ち出し角が高くなります。
ゴルフネットワークの「100切り選手権」でお馴染みの佐久間馨さんは、著書「ひじを緩めればあなたのゴルフは見違える」で次の「テクニック」を紹介しています。
リリースのタイミングを早くすると、インパクトでシャフトのしなり戻りが起きて、フェース面がロフトより上を向きます。そのためアッパーブローでボールを捉え、高い弾道になるのです。
引用:ひじを緩めればあなたのゴルフは見違える|佐久間馨 著
反対にドライバーが低いスライスばかりという人は、リリースができずにロフトが立ちすぎている状態です。
ドライバーでボールをつかまえて弾道高さを得るために早めにリリースするのは有効なテクニックです。しかし、手首をこねるような間違ったリリースをしてしまうとフェースが開いて思った以上に弾道が高くなりすぎたりスライスします。
バックスピン量が増える要因
ドライバーのバックスピン量が予定以上に増え、弾道が高くなるケースです。
バックスピン量が増えてしまう要因として、次のものが挙げられます。
- フェースが開く
- アウトサイドイン軌道
- ダウンブロー
フェースが開くとロフト角が増えるので、バックスピン量は必然的に多くなります。
バックスピン量が増えれば、いくら低ロフトのドライバーでも弾道が高くなります。
これは、ボールにより多くの浮力が与えられるからです。
アゲンストの風だと、真上にフケ上るような弾道になります。
アウトサイドインに振ると、スピン量が増えて弾道が高くなります。
ドライバーでは高いスライス回転のボールが出やすいという人が多いと思いますが、これは左にボールを置くドライバーならではの症状です。ボールを左に置くほど、アウトサイドインのカット軌道になりやすいからです。
また、ドライバーの弾道が高くなりすぎる要因として、アイアンのように上からダウンブローに打ち込んでいることも挙げられます。
ダウンブローにインパクトすると、バックスピン量が増えるからです。
ドライバーの適正弾道を得るためにはややアッパーブロー、もしくはレベルブローでのインパクトが理想的なのですが、力みや体の突っ込み、ボールを打ちに行く意識などからダウンブローにインパクトしてしまうゴルファーが多いようです。
ちなみに、ドライバーでテンプラが出る原因|すぐに使える防止策と練習方法でお伝えしましたが、ドライバーを上から打ち込みすぎると、テンプラ(真上に高く上がる弾道)になりやすいので注意しましょう。
ドライバーの最適な弾道高さ
ヘッドスピードなどによってドライバーの理想的な弾道の高さは異なるので一概「何メートル」とは言えません。
しかし、クラブフィッターの鹿又芳典さんは著書「誰でもスコアアップできる!クラブ選び&セッティング術」の中で、理想的な弾道高さについて次のように述べています。
※対象はヘッドスピード40m/sくらいの一般的なゴルファーです。
そう考えたときに、私が「コースでもっともコンスタントに飛ばせる弾道」だと考えるのは「ランの出る中弾道」です。打ち出し角は11~13度程度の「ちょっと低め」で、バックスピン量が2500rpm前後。このくらいが、キャリーが落ちない範囲でゆるやかな落下角を確保できるので、落ちてからボールが前に進んでランが出て、多分いちばん結果が出るのではないかと思っています。
引用|誰でもスコアアップできる!クラブ選び&セッティング術|鹿又芳典 著
鹿又さんがおっしゃるように、ランも含めて考えると、やはりドライバーの弾道は高すぎないほうが良さそうです。
ドライバーの弾道高さを適正にする方法
ここまでの内容を踏まえて、高すぎるドライバーの弾道高さを適正にする方法をいっしょに考えていきましょう。
ポイントは、フェースを上に向けない(開かない)ことと、バックスピン量を減らすことです。
フェースを開かない
ドライバーの弾道が高すぎる場合、もっとも疑うべきなのがインパクト時のフェース向きです。
インパクトでフェースが開くと、ロフトが増えるだけでなくバックスピン量も多くなり、弾道が高くなります。
とはいえ、フェースが開くタイミングは下記のとおりさまざまです。
- テークバック
- トップ
- ダウンスイング
- インパクト
✓テークバック
テークバックでは、インに引きすぎたり、上腕を時計回りに回すようにフェースを開きながら上げていませんか?
心当たりのある方は、シャットに上げるコツとシャットフェースをマスターするための練習方法でお伝えしたように、フェースを閉じ気味に上げるようにするといいです。
✓トップ
トップで気を付けたいのが、左手首が甲側に折れてフェースが開くことです。
左手が甲側に折れる原因と解決方法でお話した通り、ドライバーでボールをつかまえて飛距離を出すには、トップでフェースを開かないことが肝心です。
トップで左手甲を張ったままインパクトすれば、フェースを立てた状態でインパクトでき、ボール高さを抑えることができます。
✓ダウンスイング
よくあるのが、ダウンスイングでシャフトが寝てフェースが開いてしまう現象です。
ボールをつかまえたくてインサイドから打とうとする中級者に多く、プッシュアウトスライスやチーピンなどのミスも多いです。
修正する方法は【簡単】ダウンスイングでシャフトが寝る癖をすぐに矯正できる方法で紹介していますので、よかったら参考にしてください。
✓インパクト
インパクトでフェースが開かないようにするには、先ほどお伝えした左手甲を張ったままインパクトするのが効果的です。
ダウンスイングで左手甲を地面に向けたままにするイメージを持つと、フェースを開かずにインパクトできると思います。
左手でイメージがわきにくい人は、右手首に意識を向けるといいです。
テークバックでできた右手の角度を、終始変えずに打ちます。
ハンドファーストのインパクトができるので、弾道高さを抑えることができるだけでなく、無駄な手首の動きが抑えられるのでドライバーの方向性が良くなります。
バックスピン量を減らす
ドライバーの弾道を抑えるもう1つの手段として、バックスピン量を減らす方法があります。
具体的には、次の通りです。
- アッパーブローで打つ
- 芯に当てる
- シャフトを変える
✓アッパーブローで打つ
ドライバーを適正弾道で飛ばすには、ややアッパーブロー、もしくはレベルブローで打つ必要があります。
もしあなたがダウンブロー気味にインパクトしていて、バックスピン量が異常に多いと感じるなら、アッパーブローを意識して練習してみることをおすすめします。
アッパーブローで打つためには、体の突っ込みを抑える必要がありますので、具体的には右足体重のままインパクトしたり、左目でボールを見るイメージを持つと、アッパーブローに打ちやすくなります。
また、右足前の仮想ボールを打つ意識も、体の突っ込みを抑えてアッパーブローなインパクトを実現する上で効果的です。
✓芯に当てる
もっとも基本的ながら、意外と忘れられがちなのが、芯に当てるということです。
最近のドライバーは芯が広く慣性モーメントが大きいのでそれ程ではありませんが、それでも芯を外すとスピン量が増えてしまいます。
スピン量がもっとも減るとされているのが、芯のやや上の部分です。
ゴルフの「芯でとらえる能力」を養うには?の内容を参考にして、普段の練習から芯に当てる意識を持ちましょう。
✓シャフトを変える
ドライバーのシャフトを変えるだけで、バックスピン量が大幅に減って、弾道高さが抑えられることが多くあります。
大きな理由が「キックポイント」です。
ドライバーのシャフトには大きく分けて「先調子」「中調子」「元調子」があります。
先調子はシャフトの先端が大きく動くので、インパクト手前でフェースが上を向きやすくなり、打ち出し角が高くなる傾向があります。
一方の元調子は、グリップ側が大きくしなるので、どちらかと言えばフェースが下を向いたままインパクトしやすくなります。
使う人のスイングによって変わりますが、傾向としては先調子は弾道が高く、元調子は低くなります。
ですので、ドライバーの弾道が高すぎるという方は、一度元調子のシャフトを試してみると弾道高さを抑えられるかもしれません。
ドライバーの弾道が高すぎるのは「飛ばしたい」から
ここまでドライバーの弾道が高すぎる原因や、弾道高さを抑える方法をお伝えしてきました。
とはいえ、究極の原因は「飛ばしたい」という気持ちからくる「力み」だと思います。
速く振れば、それだけスピン量が増えます。
力めばスイング軌道やフェース管理が乱れ、開いて当たったり、体が突っ込んだり、上から打ち込んだりします。
たぶん、ボールがフケ上って飛距離が出ないときは、いつも以上に速く振ってしまっているのだと思います。
ドライバーを適正な弾道高さで飛ばす一番の方法は、力まないことです。
体の力を抜いて、クラブの重さを利用するように打てば、ロフトなりの弾道で飛んでくれますし、芯に当たる確率も高くなってバックスピン量も適正になるはずです。