ゴルフのラウンド中に、ついイライラしてしまう方。
ミスショットや同伴競技者のスロープレーなどにフラストレーションがたまり、スコアを崩してしまうという人も多いでしょう。
とはいえ、そのイライラが周囲に伝わってしまうと、あなたが失うものはスコアだけではないかもしれません。
ゴルフのイライラは失うものが大きい【失敗例】
プロの試合を見てると、イライラが募った選手がクラブを投げたり、活字には書けないような暴言を吐いたりする場面を見かけます。
最近では、有名な世界のトップランカーがグリーン上で差別的な暴言を吐いたとかで、大手スポンサーから契約を外されるという大きなニュースがありましたね。
このような行動は、溜まったフラストレーションを「放電」して平静を取り戻すためのものなので、特に生活がかかったプロの世界では仕方がない部分はあります(見ていて気持ちがいいものではありませんが…)。
僕たちアマチュアも、ラウンド中についイライラしてしまう場面があります。
とんでもないミスショットを繰り返したとき、前の組が詰まってハーフで3時間もかかったとき、同伴者がスロープレーヤーだったときなど。
人間なのでイライラすることは当然ありますが、それが度を越えて表面化してしまうと、多くのものを失ってしまう可能性があります。
たとえば、クラブを投げたり、あからさまに投げやりなプレーをしたり。
「もうあの人とは一緒にゴルフはしたくないな。」
そう思われて、大切なゴルフ仲間を失ってしまう可能性があります。
僕自身も恥ずかしながら、一度だけこのような形でゴルフ仲間を失った経験があります。
もう10何年も前になる話ですが、当時の僕はゴルフを始めて1年くらい。
あるとき、日頃から僕にゴルフを教えてくれていた仲のいい知人とゴルフに行くことになったのですが、突如として僕の「シャンク」が止まらなくなりました。
どうやって振ってもすべてのアイアンショットがシャンクするので、ゴルフがつまらなくなって明らかに憮然とした態度になっていました。
当然、場の空気は悪くなり、それ以来僕は二度と彼らからゴルフにも飲みにも誘われなくなってしまいました。
スポンサー契約が打ち切られたプロは「契約金」というビッグマネーを失いました。とはいえ、彼の実力があれば賞金で十分稼ぐことができますし、そうなれば新たなスポンサーも現れるでしょう。
しかし、失ったゴルフ仲間については、二度と戻って来ないかもしれません。
ゴルフでイライラするのは「普通」です
「イライラしてはいけない。」
あなたがこのように自分に言い聞かせても、あまり効果がないかもしれません。
先ほども書いたとおり、イライラは人間が持っている自然の感情だからです。生まれもっての性格や持っている価値観の違いで度合いは変わりますが、大なり小なり誰だってイライラすることはあります。
フィル・ミケルソンをはじめ、多くのスポーツ選手のメンタルサポートを担当している精神科医マイケル・T・ラードン氏の著書ゴルフ メンタルゲームに勝つ方法には、次のように書かれています。
選手たちに、いや選手に限らずゴルファーたちに「怒っちゃいけないよ」とただ単にいったところで、あまり効果は見込めません。人間には、理性を失い、感情的になることがどうしたってあるわけですから。
(引用元:ゴルフ メンタルゲームに勝つ方法 p.105)
大切なのは、イライラの感情を押さえつけることではなく、どうやってコントロールするかです。
普段は80台や90台前半でラウンドする実力があるのに、イライラが募ると100を叩いてしまうという人は、感情のコントロールが上手く出来ていないだけの可能性が高いです。
メンタルを上手にコントロールできるようになれば、それによってスコアが崩れることがなくなります。
メンタルが一度崩れても、すぐに平静を取り戻せる方法を学んで実践すれば、場の空気を悪くすることなく、ゴルフ仲間たちと楽しくゴルフを続けていくことができるのです。
ボールをコントロールし、ゴルフをコントロールするためには、感情をコントロールすることが必要なのです。
(引用元:ゴルフ メンタルゲームに勝つ方法 p.101)
ゴルフのイライラをコントロールする方法
ゴルフ メンタルゲームに勝つ方法には、イライラでスコアを崩すゴルファーに役立ちそうな解決法が紹介されています。
✓スピードを制御する
感情が高まったときは、なにをするにも動作のスピードが早まるものです。早足で歩き、勢いで判断を下そうとしてしまう。そうならないよう、次打地点まで歩くスピードをスローダウンさせ、呼吸もスローダウン。そうしているうちに、感情はおさまってくることでしょう。
(引用元:ゴルフ メンタルゲームに勝つ方法 p.107)
イライラが募ってくると、あらゆる動作が「雑」になりがちです。
たとえば、いつもならショットを打つ前に3回素振りをするのに1回しかしないとか、パッティングの傾斜を読む時間を省くといった具合に。
平常時にいつもやっていることをしないと、当然ながらリズムが狂うので、良いショットを打てる確率も減少します。
数年前からスポーツの世界で「ルーティン」という言葉が盛んに使われるようになりました。
ゴルフでは打つ前に行う動作なので「プレショットルーティン」とも呼ばれますが、これはどんな心理状態にあったとしても、平常時と同様のショットが打てるように行っているものです。
✓ミスや怒りの感情を受け入れる
ゴルフはミスのゲームですから、誰もがミスショットを打つ。それはゴルフの一部です。ツアープロはつねに完璧を目指しますが、完璧なんて不可能。そんな現実を見つめようとせず、完璧であろうとすることこそが、フラストレーションを引き起こすのです。ハンディキャップ20のアマチュアなら、とんでもないミスショットをしばしば打つ。それを当たり前だ、それでもいいんだと思い、ミスショットが出たときにどう対処するかを考えることが大切なのです。
(引用元:ゴルフ メンタルゲームに勝つ方法 p.107~108)
怒りやフラストレーションの感情というのは、自分が思い描く理想と現実とのギャップが起因であることがほとんどです。「期待外れ」と言い換えてもいいかもしれません。
たとえば、「(練習場では調子がいいのに)今日はシャンクばかりでゴルフにならない」とか、「(ハーフ2時間10分以内で回るのが普通なのに)ハーフで3時間もかかっている」など。
「本当はこうだ(こうあるべき)」という期待を裏切られると、つい不安や怒りの感情が湧いてしまいます。
とはいえ、自分のショットにしろ、ゴルフ場の進行にしろ、同伴競技者にしろ、「完璧などない」と割り切って受け入れてしまうと、フラストレーションがたまりにくくなります。
自分の感情に対しては「人間なのだから怒りを感じて当然だ」と受け入れ、他者についても「相手も人間なのだから、完璧な人なんていないのだ」と受け入れることで、イライラすることが少なくなっていくのだと思います。
そもそも、ゴルフはコントロール不能です
そもそも論として、ゴルフはコントロール不能です。
大事な場面でミスショットする、スロープレーヤーと同伴になる、ディボットに入るなど。
自然相手のスポーツだと、こんなことがしょっちゅう起こりますよね。
天気をコントロールできないのと同じで、ゴルフもコントロールはできません。
そもそも、自分の思うようにコントロールしようとすると、思い通りにいかなくなるとフラストレーションがたまります。
自然が相手なら、起こる事柄も「自然」の流れに任せておくべき。
そして、自然に起こる事柄を素直に受け入れ、自らの学びへと変えられるかが、ゴルファーとして成長できるかの鍵を握っているのだと思います。
最後に、フローゴルフへの道から好きな一節を紹介します。
この先もダブルボギーをはじめとする数々のミスショット、練習を重ねても上手にならない腹立たしさと焦りなどに直面するに違いない。そのときあなたは、「これこそ重要な学びの機会なのだ」ととらえることができるかどうかが試されているのである。
引用元:フローゴルフへの道