主にロングアイアンの代用品として、簡単に打てるユーティリティが人気です。
最近では僕たちアマチュアだけでなく、多くのプロゴルファーも愛用しており、機能性の高さを証明しています。
この記事を読んでもらっている人の中には「自分もユーティリティ買おうかな」と悩んでいる方もいるでしょう。
そこで気になるのが、アイアンとユーティリティの違いです。
一般的に「アイアンより簡単」と認知されているユーティリティですが、ハッキリとした違いや使い分け方についてはあまり知らないという方が多いかもしれません。
せっかくユーティリティに買い替えても、違いや使い分けが理解できていないと「宝の持ち腐れ」になってしまうので、この記事でサクッと学習しておきましょう。
アイアンとユーティリティの違い
アイアンとユーティリティの最も大きな違いは、次の2つです。
- 重心深度の違い
- 長さの違い
重心深度の違い
重心深度とは、フェース面にあるスイートスポットからヘッドの重心までの距離です。
ヘッドが薄いアイアンとは違い、ヘッド後方が大きいユーティリティは重心深度が深くなります。
画像引用元:ユーティリティメタル|タイトリスト
重心深度が深いほど、インパクト時の「ギア効果」で重心が下がってフェースが上を向くので、ボールの打ち出し角が高くなります。
つまり、違いは次のとおりです。
- アイアン:重心深度が浅い=ボールが低い
- ユーティリティ:重心深度が深い=ボールが高い
一般的にロングアイアンよりもユーティリティが簡単・打ちやすいと言われているのは、ユーティリティは重心深度が深くボールを上げやすいからです。
✓「ウッド型ユーティリティ」と「アイアン型ユーティリティ」
ここまではフェアウェイウッドのようにヘッド体積が大きめの「ウッド型ユーティリティ」を前提に話を進めてきましたが、「アイアン型ユーティリティ」というものもあります。
名前のとおり、見た目はアイアンそのものですね。
画像引用元:ユーティリティアイアンU505|タイトリスト
ユーティリティなのでアイアンに比べると打ち出し角は高めとはいえ、ウッド型と比べると重心深度が浅いため、弾道は低くなります。
このため、ヘッドスピードが遅めの人はティーアップをしないと十分なキャリーを出すことができません。
なので、「アイアン型ユーティリティはヘッドスピードがかなり速い人向け」と捉えておく方が無難でしょう。
長さの違い
また、ユーティリティはアイアンよりも長めに設計されていることがほとんどです。
あるメーカーの現行モデルを調べてみたところ、5番アイアンとユーティリティを比較したところ、同じロフト角で1~2インチ(約2.5~5センチ)違いがありました。
メーカーやモデルによっては、さらに長いユーティリティも存在します。
ゴルフクラブは、シャフトが長くなるほどヘッドスピードが上がるというのが基本原理です。
シャフトの長いユーティリティはアイアンよりも必然的にヘッドスピードが上がるため、同じロフト角でもユーティリティの方が飛びやすくなります。
同じロフト角のアイアンとユーティリティでどんな違いがある?
たとえば、次のような状況です。
- 5番アイアン:ロフト角24度
- ユーティリティ:ロフト角24度
先述のとおり、同じロフト角でもユーティリティの方がボールの打ち出し角が高くなります。
たとえば170ヤード先のグリーンを狙う場合、弾道が高いユーティリティの方がグリーンに止めやすいです。
一方の5番アイアンは弾道が低く、着地後は前に転がりやすい球筋になります。
ヘッドスピードによっては5番アイアンで十分なキャリーが出せず、グリーンに届かないかもしれません。
アイアンとユーティリティの使い分け方
ここまでを読むと、まるでユーティリティが超万能クラブで「アイアンは不要では?」と思われるかもしれません。
実はそうとも限らなくて、両者を上手に使い分けるとさらにゴルフコース攻略の幅が広がります。
たとえば、バンカーや池越えのグリーンを狙う場合。
このケースでは、十分な高さとキャリーが出せるユーティリティに軍配が上がります。
一方で、アゲンストの風(向かい風)で花道が使える場合。
この状況では、低いボールを打てるアイアンの方がグリーンを狙いやすくなります。イメージとしては、手前の花道から低く転がしていく感じです。
アイアン特有の低いボールは、他の場面でも使えます。
林から脱出するときには、高さの抑えやすいアイアンが有利です。ユーティリティだと思った以上に高さが出てしまうときがあるからです。
また池越えのシチュエーションでも「左足上がり」の場合には、ユーティリティよりもアイアンの方が良いかもしれません。
なぜかというと、そもそも左足上がりはボールが上がりやすく、ユーティリティだと球が上がりすぎてキャリーが不足する可能性があるからです。
この場合、アイアンなら低く前に行くボールが打てるので、左足上がりだと「丁度いい」ボールが打てるというわけです。
このように考えると、同じロフト角のアイアンとユーティリティをキャディバッグに入れても、特におかしくないということになります。
もちろん、無理をしてロングアイアンを使う必要はないですが、アイアンとユーティリティそれぞれの違いや特性を知っておくことで、よりあなたに合ったクラブセッティングが見つかると思います。