ゴルフスイングの話題になると、いつも議論になるのが「ゴルフは腕を振るのか?振らないのか?」という問題です。ゴルフをやったことがある人なら、一度は悩んだことがあるでしょう。
私自身も様々なゴルフ教本やレッスンプロの教えから、腕を振る・振らないについて右往左往した経験があります。
今日はゴルフスイングにおいて腕を振るのか?振らないのか?の問題に悩んでいる方に向けて、解決の糸口になるお話をさせていただきます。
ゴルフボールを飛ばす2つのエンジンとは?
飛行機は両翼に付いた2つのエンジンをバランスよく出力することで、安定したフライトを実現しています。どちらか片方が強すぎても弱すぎてもいけませんし、ましてや片方がまったく動いていないというのは墜落の危険すらあります。
ゴルフスイングにも同じ「2つのエンジン」があります。この2つを同時にバランスよく使うことで、ゴルフボールを正確に、より遠くに飛ばすことが可能になります。
腕を振る力
ゴルフは腕でゴルフクラブを持ってボールを打つスポーツ。腕を振ることはゴルフスイングの「原点」です。
日本では腕を使わないスイングが強調されがちですが、ゴルフが盛んなアメリカなどでは反対に腕を振ることを強く指導されます。
なぜなら、腕を振ることはゴルフボールを遠くに飛ばす原点であり、ボールをつかまえるのも腕を振ることによって可能になるからです。
下半身の力
腕を振るだけでは残念ながら最大限の力を発揮することができません。試しに両足を揃えて腕を振るだけでボールを打ってみても、あまり飛ばせないことがわかるでしょう。
このとき下半身の力を使うことで、腕の振りを倍増させます。
下半身でも特に大切な大臀筋や太ももだけで、体全体の50%を占めていると言われます。重たい物を動かすとき、腕だけでは動きません。下半身を同時に使うことで、重たい物を動かせるようになります。
腕の振りと下半身の力のバランスが整ったとき最大の力を発揮する
このように腕を振るという力と下半身の力のバランスが整ったとき、ゴルフでははタイミングが合ったと表現します。このときのスイングは淀みなく、非常にバランスよくフィニッシュまで振り抜かれます。そしてボールは遠くへ運ばれます。
「軽く振ったのに飛んだ」の理由
ドライバーをゆっくりと軽く振ったのに、いつもより飛んでいたという経験は誰でもあると思います。
実はこれは軽く振るという意識から、腕を振る力と下半身の力のバランスが合ったためです。
あなたのまわりに、ゆっくり振っているように見えて凄く飛ばす人はいないでしょうか?
ゆっくり振っているように見えて飛ばす人は、腕を振る力と下半身のバランスが非常に取れている人です。
反対にものすごく一生懸命振っているのに飛ばないという人は、下半身もしくは腕を振る力のどちらかの出力が大きすぎます(もしくは片方が弱すぎます)。先ほどお話したとおり、2つのエンジンのどちらか片方が強すぎても弱すぎても、うまくボールに力は加わらないようになっています。
スライスして飛ばない人は腕を振る
ここからは、具体的な症状別に見た「2つのエンジン」のバランスのとり方です。まずはボールがつかまらずにスライスして飛ばないというケースです。
この場合に考えられるのは、2つのエンジンのうち「下半身」が強すぎるパターンです。下半身の強い回転に腕の振りがついていけていない状態です。
ほとんどのアマチュアゴルファーはこのパターンに当てはまり、かなりの人が全く腕を振れていません。俗にいう「振り遅れ」の症状で、アマチュアゴルファーにスライサーが多いのもこのためだと言われています。
>>腕を振る力を養う練習方法
腕を振る力が弱くボールがスライスしてしまう人は、両足を揃えてボールを打つ練習を行ないましょう。インパクトエリアでフェースターンが促され、正しい腕の振りをマスターできます。
腕を振ってもスライスする人は・・・?
腕を振るイメージで打ってもスライスが出る、もしくはスライスが酷くなるという人もいます。
本来腕を振る時には前腕が反時計回りにローテーションをしながら振るのが正解。ところがローテーションの動作が苦手で、左手を下の写真のように引っ張りこむような腕の振り方をしてしまう人がいます。これはその人のスポーツ歴や体の動かし方の癖によります。
正しいアームローテーションを身に付ける
腕を振ろうとして左腕を引っ張り込むようなスイングをすると、いつまでたってもフェースが返らないので、大きくスライスしてしまいます。フォローでは肘が引けて、左脇が大きく開いたスイングになります。
「ドライバーは左脇だけを意識してもスライスは治らない」の中で紹介している方法で、正しいアームローテーションを身に付けることから始めると、正しい腕の振り方がマスターできます。
グリップを止めてみる
腕を振ることでスライスが酷くなる場合には、「ドライバーのパンチショットはスライスに効く!」の中で触れているように、インパクトでグリップを止めるのも有効です。
グリップを止めることでヘッドが走り、ボールがつかまるようになります。
最後に
普段の練習では、今回お話させていただいた「2つのエンジン」のバランスを整えることに集中すると、バランスの良いスイングになります。
少しボールのつかまりが悪くスライスするときは、「今のは腕の振りが弱いんだな」と考え、少しずつ腕の振りを強くしていく。こうやって微調整しながら、両方のエンジンのバランスを整えていくといいでしょう。
正しい腕の振り方は、「ドライバーは左脇だけを意識してもスライスは治らない」の記事の内容を参考にしながらマスターするようにして下さい。